東芝・過労うつ病労災・解雇裁判
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裁判

平成16年(ワ)第24332号解雇無効確認等請求事件

第7回弁論準備(非公開) 2006年1月16日 11:00〜

 出席者  原告側 川人弁護士 山下弁護士  重光由美  (傍聴人4名)
        被告側  指定代理人1名  深谷工場総務部長  総務課長
 場所 東京地裁民事11部

■全体
被告は、提出した書面(4)で、原告の業務が過重だったとの主張を全て否定しましたが、弁論準備自体は淡々と、特に何事も無く10分程度で終了しました。

■書面提出
 ○11月月21日 原告より甲16号〜甲66号証の証拠説明書提出
 ○1月16日   被告より準備書面(4)提出 

●被告提出準備書面(4) 主な主張
 ・M2ラインの立ち上げスケジュールは特に厳しいものではない。1986年以降東芝の液晶ラインはすべて始めから量産ラインとして立ち上げてきている
 ・M2ラインの立ち上げの生産開始(AT)は、スケジュールが予定通り行かない場合も当然想定して目標を早めたものでり、無理なスケジュールでは全くない。
 ・ライン立ち上げで装置搬入後、装置のトラブルが起きるのはよくある事であり、通常業務の範疇である。
 ・トラブルが多発し、当時対策会議が毎日のように行われたことは、一般的な業務の進め方であり、特別な負荷を与えるものではない
 ・原告が作成したトラブル対策のスケジュール前倒しを指示し、原告の「前倒しは無理です」との発言を無視し、翌週の定例ミーティングで報告できなかっただけでスケジュールの再提出をさせたり、さらに翌週週2回その対策のみの進捗報告会議を開催したのは、原告の活動がうまく進められるよう配慮したものである。
 ・2001年5月、M2ラインの立ち上げの途中、トラブル対策・立ち上げ業務等を行っていた原告を新製品開発(携帯向け反射製品開発)業務に変え、毎日のように会議に出席させたのは、反射業務を理解させるための学習の機会を与えたものであり、負荷はなかった。一日に3つの会議に出席させたのも特に問題はない。また並行して行っていたM2ラインの立ち上げ業務は、当然原告が行うべき業務であり、反射製品業務と平行して行う事に特に負荷はなかった。
 ・その後の反射業務(半透過承認会議)についても特に原告に負荷ではない
 ・8月下旬頃に不良解析チームに原告をメンバーとした事は、体調不良で業務遂行できなくなっていた従来業務からすべて外し、軽い業務とする事で、ゆったりと体調回復を図る事が目的だった。

■弁論準備
淡々と、特に何事も無く10分程度で終了しました。
裁判官−証拠説明書が提出されたので、原告の甲16〜甲66号証(当時の原告の業務内容の資料)を採用します
○今後の審議について
原告弁護士−証人尋問で立証をすすめたい
被告弁護士−原告の立証を背景にした上で反論したい
裁判官―次回弁論準備は2月20日11:00〜とします。それまでに原告は証人の人数も含めて立証計画を提出してください。閉廷。


□原告感想
  被告は、今回提出した書面(4)で原告の業務の加重性を、「全て通常の業務の範疇である」と反論していましたが、裁判では、前回の様な威嚇するような態度はなく、淡々と弁論準備は終了しました。

  被告書面での主張「M2ラインの立ち上げの生産開始(AT)は、スケジュールが予定通り行かない場合も当然想定して目標を早めたもの」とありますが、M2ライン立上げPJは被告も答弁書に書いてあるとおり総勢約200名のPJです。これほどの大きな規模のPJの「生産開始(AT)がスケジュールどおりいかなくてもいい」ことで、「早めたスケジュールを設定していること」は他の会社でも行われているのでしょうか。
  そのM2立上げPJで「トラブルが多発し、当時対策会議が毎日のように行われた」ことは、「一般的な業務の進め方」なんでしょうか。M2ライン立上げPJに従事した同僚が半年間に2名自殺しています。私はこの立上げ業務は異常だと思いました。

  しかし・・・、会社側は資料を提出せず、原告側の質問には答えず、原告の主張にはすべて「特に負荷では無かった」と回答する・・・。楽でいいですね・・・。体を壊すまで働かせて、「負荷は無かった」と主張する、会社と従業員との裁判は、こういうものなのでしょうか。弁護士は「東芝の対応は他のメーカーと比べてもひどい」と言っていました。

 それにしても、裁判に関わっている会社側の方々は、自分も過労で体を壊すかも、などと思わないのでしょうか。私が休む事になったとき、多くの同僚から「あなたが倒れるとは思わなかった」と言われました。過労で病気になる事は、決して他人事では無いと思います。自分もそうならないために、病気になってしまった従業員に保証を与え、職場を改善する、そういう方向に会社は動かないのでしょうか。

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