東芝・過労うつ病労災・解雇裁判
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裁判

原告 準備書面(1)

平成16年(ワ)第24332号解雇無効確認等請求事件.
原告 重光由美
被告 株式会社 東芝
      
             準備書面(1)
 
                       平成17年2月28日
      
東京地方裁判所 民事第11部い係  御中


                原告訴訟代理人        
                弁護士  川 人    博
                同     山 下 敏 雅

第1 請求の原因の訂正
 訴状 「 第5(安全配慮義務違反)」「2(原告の損害)」のうち、「(6)弁護士費用」の項(13頁)について、以下の通り訂正する。
 『 被告において負担すべき弁護士費用として、金169万0991円が相当である。』

第2 答弁書に対する認否
 1 「第2」「3」「(1)」(2頁)について
(1)「@」(3頁)について
 立ち上げ期間が特段短期間というものではないとする点、及び、ドライエッチング工程が新規性、困難性ともに軽微であったとする点は否認する。
(2)「A」(3頁)について
 M2ラインの立上げが本格化した時期が2000年(平成12年)12月1日とする点は否認する。
 M2ラインの組織・メンバーが、組織表上被告の主張のとおりであったことは認めるが、実態は異なる。
(3)「B」(3頁)につい
 朝会への各工程から1人の出席が義務づけられていた点、及び当番制であった点は認める。
 朝会が午前9時に開催されていたこともあるかの如き主張は否認する。
(4)「C」(4頁)について
 『信頼性改善』問題が最重要工程とされた「当時」が2001年(平成13年)2月から3月上旬とする趣旨であれば否認する。また、ドライエッチング工程について概ね順調に立ち上がっていたとする点は否認する。
 原告のいう、2001年(平成13年)3月からの原告担当部分の対策会議は、「RIEマージン確認報告会」を指し(第1回目は3月13日ころ、第2回目は3月16日)、被告のいう定例会議に加えて開催されていたものである。
(5)「D」(4頁)について
 否認する。

2 同「(2)」(5頁)について
(1)「@」(5頁)について
 ア 第2段落(「前述したように」以下)は否認する。
 イ 第3段落(「なお」以下)のうち、同年3月末に移管会議が行なわれたことは認めるが、その余は否認する。
 ウ 第4段落(「ちなみに」以下)については否認する。
(2)「A」(5頁)について
 第2段落(「F課長の」以下)は否認する。
 第3段落(「また」以下)について、F課長がM2ライン立上げ計画の組織表上「アレイSG」長であったこと、及び、CVD工程関係のトラブル対策会議に一部出席していたことは認める。
 もっとも、F課長はアレイSG長としての業務に主には従事していなかった。
(3)「B」(6頁)について
 「反射製品」そのものが新しい取り組みであったことは認め、原告への指示が視野を広げる教育的な意味があるとする点は否認ないし争う。また、原告が務めていたのはリーダー兼スルーである。スルーとは、特定の工程を担当せずに全体を通してみる担当者であり、工程が特定できない業務や何らかのトラブルが発生した場合にはまずこのスルーが担当する。
(4)「D」(6頁)について
 第2段落(「『承認会議』も」以下)は否認する。
 第3段落(「ちなみに」以下)のうち、5月31日の会議が滞りなく終了したとの点は否認する。

3 同「(3)」(7頁)について
(1)「D」(7頁)について
 2001年8月18日ころに「M2ライン歩留・信頼性対策チーム」が発足した点は不知。

第4 治療費
 治療費(訴状11頁、訴状別紙)の内訳の書証との対照は、本準備書面別紙の通りである。

第5 求釈明
1 原告の労働時間
 被告は原告が主張する原告の労働時間(訴状4頁)について否認する(答弁書3頁及び4頁)。
 本件訴訟においては原告の過重労働の実態が非常に重要な事実であるところ、現在までにおいて被告から原告の労働時間に関する具体的な主張がない。
 被告は、勤務実績証明書(答弁書別紙、甲1)を作成し、また答弁書においても原告の深夜残業・休日出勤を一部認めるなどしているのであるから、被告が原告の労働時間について何時間であると主張するのか、各日毎に、何時から何時まで労働したとするのかを明らかにすると共に、それを根拠づける資料を提出されたい。また、勤務実績証明書の所定労働時間に対する時間外合計及び法定労働時間に対する時間外合計の算出根拠を示されたい。
 特に、被告は「(原告の)退勤時刻が遅くなった翌日の原告の出勤は概ね午前9時以降となっている」旨主張するが(答弁書4頁)、退勤時刻が遅くなったとする日について、具体的な日とその退勤時刻を特定されたい。

2 M2ラインの立上げ期間の短さと立上げの遅れ
 被告は「立上げ期間は会社が過去実施した液晶ラインの立上げと比較しても特段短期間というものではない」旨主張するが、その具体的根拠を明らかにされたい。特に、M2ラインの立上げ計画資料と共に、M2ラインよりも以前に行なわれていたM1ラインの立上げ計画の資料を開示されたい。

3 資料の開示
(1)被告は、「当時」の最重要工程が『信頼性改善問題』であった旨主張するので(答弁書4頁)、同業務が「当時」最重要工程であったことを示す資料を提出されたい。

(2)被告は、2001年(平成13年)5月時点でドライエッチング工程の7台の装置が稼動可能な状態であった旨主張するので(答弁書5頁)、これを裏付ける資料(ドライエッチング工程全装置のAT資料、流品開始以降のM2ライン全体での生産能力の推移を示す資料等)を提出されたい。

(3)M2ラインの2001年(平成13年)3月末の移管会議での移管の際に原告は膨大な量の資料を作成しているが、これについて全て提出されたい。

(4)ドライエッチング工程のメンバーである原告、U氏、及びT氏の2001年(平成13年)3月及び4月の所属を示す書類を提出されたい。

(5)F課長がアレイSG長として行なっていた業務(答弁書5頁)、特に定例ミーティングでどのような業務を担当していたのかにつき、具体的に資料を提出して説明されたい。

(6)反射製品業務についての組織図(答弁書6頁)を提出されたい。

4 承認会議について
 被告は、反射製品の承認会議について、「担当者であって主催者ではない」旨主張するが、(答弁書6頁)、原告以外に誰が主催したのか、原告が同会議につきどのような業務を担当していたとするのか、明らかにされたい。

5 パッド腐食について
 パッド腐食対策についてF課長が原告に言及したとする具体的内容(答弁書7頁)、及び、「当然に気を配らねばならない事柄」について具体的に説明されたい。
 また、2001年(平成13年)5月下旬から6月上旬の、パッド腐食対策のための試作品流通に関する対策会議の議事録、及び、試作品の試作依頼書を提出されたい。

6 2001年6月以降の業務
(1)被告は答弁書「第2」「3」「(3)」「B」(7頁)において、訴状「第3」「3」「(3)」「イ」(8頁)中、原告が半透過製品に関するDR−C(レビュー会議)及びP−DAT(承認会議)に関与した点以外を否認するが、原告がどのような経緯でこれらに関与するようになったと主張するのか、明らかにされたい。また、原告以外に誰が主催したのか、原告がこれらの会議につきどのような業務を担当していたとするのか、明らかにされたい。
 また、被告は答弁書同「C」において、訴状同「ウ」項を否認するが、いずれの事実を否認するのか、具体的に明らかにされたい。
(2)「M2ライン歩留・信頼性対策チーム」について、どのようなメンバー構成で、どのような業務を行なっていたのか、明らかにされたい。

7 産業医の医療記録
 被告は、原告が2001年(平成13年)6月7日に長時間労働者の定期健康診断や同年7月の定期健診をはじめとする被告会社における産業医の医療記録、健康管理室でのカルテを全て開示されたい。
                                      

以上
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