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行政訴訟(労災不支給取消し訴訟)
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平成19年(行ウ)第456号 療養保障給付不支給処分取消等請求事件
判決言渡 2009年5月18日 13:10〜
出席者 原告側 重光由美 川人弁護士 山下弁護士 小川弁護士
被告(国)側 欠席
傍聴人26人
場所 東京地裁 631号法廷
■全体
13:10に、裁判官3名が入廷し、中央の裁判長より主文の読み上げが行われました。
法廷スケッチ(友人画)
主文が読み上げられ、あっという間に法廷は終わりました。
被告(国)側は欠席でした。
主 文 1 熊谷労働基準監督署長が原告に対して平成18年1月23日付けでなした労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付たる療養の費用及び休業補償給付を支給しない旨の処分(ただし、平成14年9月7日以前の休業補償給付を不支給とした部分は除く。)はこれを取り消す。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は被告の負担とする
判決全文はこちら
15:30より司法記者クラブで記者会見が行われました。
原告記者会見コメント
本日、1年前に出た東芝との裁判勝訴に続き、行政訴訟でも勝訴判決を頂く事が出来て、とにかくほっとしました。 長時間労働が認められ、また同じ職場の同僚が2名も自殺しており、労災に認定されて当然な事例です。昨年4月22日に東芝との民事裁判では業務上と認められて全面勝訴し、その1か月前には、同じ職場の同僚の過労自殺も労災と認められました。それにもかかわらず、その後も国が無駄に裁判を続けたことは、無収入で病気である私を苦しめ、労災認定をあきらめさせようとした行為としか感じません。 裁判の提訴からは1年10か月、労災申請からは実に4年と8か月というたいへん長い月日が経っています。その間、私は全く収入が無く、経済的・精神的に不安定な状態で、症状の悪化に苦しんできました。こんなに長い時間やお金をかけないと労災と認められない今の労災行政は、絶対におかしいです。国は、労災行政が、労働者のためにあることを再認識し、積極的に労災認定や職場の環境指導を行い、社会のメンタルヘルス改善に力を注ぎ、労働者を苦しめるのではなく、私のように、精神を病んで労災申請をしなければならない人が、減るような対策を行って頂きたいと思います。
東芝との解雇裁判一審では、勝訴しましたが、東芝は即日控訴し、行政が労災に認めないとして、未だに徹底抗戦の対応を取っています。本日の行政訴訟の勝訴により、東芝との解雇裁判も解決の方向に向かい、今行われている2つの裁判が解決し、長い裁判生活から、私が治療に専念できる環境になる事を期待しています。
うつ病は誰でもなるし、闘病自体も辛いのに、偏見を受け、より辛い思いをします。今日の勝訴判決がマスコミ報道されることで、同じような辛い環境にいる人が少しでも救われればと思います。
最後に、勝訴までご協力いただいた多くの皆さん、ありがとうございました。
原告 重光由美
(太字の部分は、私が読んでいる場面がNHKで放送されました。)
弁護団コメント
判決内容 判決内容は2008年4月の判決とほぼ同じで,原告の主張が認められ,労基署の不支給処分を取り消す判決が言い渡された。 「原告の業務を巡る状況を見ると,原告は,新規性のある,心理的負荷の大きい業務に従事し,厳しいスケジュールが課され,精神的に追い詰められた状況の中で,多くのトラブルが発生し,さらに作業量が増え,上司から厳しい叱責に晒され,その間に本件会社の支援が得られないという過程の中で,その間,長時間労働を余儀なくされていた。以上の原告に対する心理的負荷を生じさせる事情は,それぞれが関連して重層的に発生し,原告の心理的負荷を一貫して亢進させていったものを認められるのであり,上記のような原告の業務による心理的負荷は,社会通念上,客観的にみて,精神障害を発症させる程度に過重であったといえる。」と判示した。
本件訴訟の意義 1 解雇無効確認等訴訟判決(昨年4月東京地裁民事11部)に続き,原告の疾患と業務との相当因果関係が認められ,原告の疾患が労災として認定されたことは,原告の権利救済につながる大きな一歩となる。 使用者たる会社(東芝)は,本日の判決を深く受け止め,不当な争いをやめ,速やかに解雇を撤回し原告の権利救済のための措置を講ずるべきである。 2 また,本件のような療養中精神疾患の事案で労基署の労災不支給処分を取り消す判決が出たことは,同種労災申請事案が増えている中で,精神疾患事案の労災行政の問題点を浮き彫りにしたものであり,労災行政を改善していくうえで重大な意義を有するものである。 厚生労働省は,本日の判決を深く受け止め,労災行政の改善に着手すべきである。
弁護団ホームページより転載
http://www.cpi-media.co.jp/kawahito/hanrei/hanrei.htm
□原告感想
私は、原告席に座ってから、判決文が読み上げられる直前まで緊張して、どきどきしていましたが、 裁判官の主文読み上げが始まり、 「主文 熊谷労働基準監督署長が原告に対して平成18年1月23日付けでなした労働災害補償保険法による療養補償給付たる療養の費用及び休業補償給付を支給しない旨の処分(以下「本件処分」という)を取り消す」 と、「支給しない旨の処分を取り消す」という言葉を聞いた瞬間、 ああ、勝ったんだ〜よかった〜 と、ものすごくほっとしました。
あっという間に終わった主文読み上げの後、立ち上がって傍聴席を見ると、座っている人達が皆ポカーンとした顔をしていました。「勝訴しました」と私が言うと、ようやく結果が飲み込めたようで、みなさん、「よかった」と喜んで頂きました。
判決後の集会では、勝訴のお祝いの花束を頂きました。 川人弁護士から判決の説明があり、それから私が簡単にあいさつをしました。
傍聴に来ていただいた皆さんからは 「裁判官の声が小さくて聞き取れなかった」 「判決文の内容が難しくて聞いていて理解が出来なかった。わかりやすい言葉で言ってほしい」 「裁判員制度が始まるのだから、誰にでもわかるような判決文にしてほしい」 といった、判決がわかりにくいという意見が多数出ていました。
確かに、そうですね。 傍聴人が、勝訴したかさえもわからないのでは、せっかく公正に判決していただいたのだから、判決文主文は、傍聴人にもわかるよう、ゆっくりしゃべってもらえると良かったかなあと思います。
しかしなんといっても裁判の問題は「長さ」ではないでしょうか。 資料の提出に時間をかけてずるずる引き延ばす、こんな単純な事で裁判がいくらでも引き伸ばされてしまう。引き伸ばされれば弱者は精神的金銭的にすごく辛いのに、それが制止されることなく裁判は長く続く。弱者に裁判なんてあきらめろといってるかのように。今の裁判は、権力者に甘く弱者に厳しい。長引かせたほうに罰則を与えるとか出来ないのでしょうかね。
まあ、病気の身で2つの裁判を抱えている私にとっては、日程がきつくなりすぎず、適度の休憩が取れて、よかったと言えばよかったのですけどね〜
さて判決後、支援者の方と写真を取りました。中央で花束を持っているのが原告の私で、右側が担当弁護士の川人博弁護士です。
以上、うつ病患者の裁判しながら日記「判決日」より
http://shigemitsu.blog40.fc2.com/blog-entry-389.html
2009年6月2日、国が控訴しなかったため、判決が確定しました
「うつ病人が裁判で労災認定され判決が確定した、初の判決」となりました。
残るは、東芝との解雇裁判のみとなりました。
東芝との控訴審(現在も進行中)は以下のページをごらんください
http://homepage2.nifty.com/tsbrousai/kousokouso.html
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