東芝・過労うつ病労災・解雇裁判
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裁判・控訴審

平成20年(ネ)第2954号 解雇無効確認等請求事件

第2回口頭弁論 2008年10月20日(月) 15:00〜

出席者  原告側 重光由美 山下弁護士、小川弁護士、島田弁護士
       被告側 指定代理人2名 
       傍聴人17人(東芝側4名)
場所   東京高裁825号法廷


裁判所前で原告

■書面提出 
原告 9月30日に準備書面(1)提出 (被告の控訴理由書に対する反論を記述)
    
■全体
書面のやり取り等で10分程度で終了しました。

法廷スケッチ



担当裁判官 (高裁第11民事部)
富越 和厚 裁判官 (裁判長 真ん中)
設楽 隆一 裁判官 (右陪審 和解担当)
大寄 麻代 裁判官 (左陪審) 
左側の設楽隆一裁判官(右陪審)が主任裁判官(和解協議を担当)です。

左側:原告側
右側:被告弁護団(控訴審より会社側代理人が2人に増えました)


書面の確認の後、裁判官より損害賠償額について、
休職中に会社より支給された傷病手当(年収の8割)と年収(平成12年度の年収)との差額の支払いを命じた地裁判決に対し
年収は平成12年度分を元に支払額を命じているが、ボーナスなど変動があるのではないか
体調が悪化し、安全配慮のために残業をさせないといった業務軽減をする場合は年収が減る事があるのではないか
差額の支払い額を検討するべきでは、といった話がありました。
つまり、地裁が支払いを命じた損害賠償額をもっと減額できるのではないかと言う主旨の発言が裁判所からされました。

続いて東芝側から、
「先日、行政訴訟(労災不支給取消し訴訟)で提出された、O大学N教授(医者)の意見書を提出したい」と発言。
裁判官より「別の裁判の資料はあまり提出してほしくないが」と話がありましたが、提出されることになりました。


■和解協議(非公開)
公判終了後、16階のラウンドテーブルに場所を移して、4回目の和解協議(非公開)が行われました。
1時間くらいの話し合いの後、今後も和解ベースで進めていくとして、次回弁論準備が
11月26日 16:00〜
になりました。



□原告感想

地裁が支払いを命じた損害賠償額をもっと減額できるのではないかと言う主旨の発言が裁判所からされました。

うーん・・・

裁判中の嫌がらせを含め、私が会社から受けた苦痛や損害に比べて、会社の支払う損害賠償の額は東芝にとっては非常に小額で、本当にたいした額ではないと思うのですが、
そのわずかな額を減らす方向の検討を裁判所がする・・・?

しかも「体調が悪化し、安全配慮のためため業務軽減をする場合は年収が減るのでは」、というのはそもそも会社が体調を悪化させたことが問題で、会社に過失があるのだから、病気にならなかったらもらえた給料の額を前提として、損害賠償を計算してしかるべきではないでしょうか。

裁判という公平性が求められる(と私が思っていた)場で、東芝という大企業が公然と嫌がらせや威嚇、偽証をし、それが懲罰も課される事無くまかり通っている事に非常に驚いたのですが、そんな状態で行なわれた裁判で、ただでさえ会社にとってわずかな額の慰謝料を更に低くする主旨の発言が、裁判官の口から出てくる・・・
私としては裁判所が会社に制裁を与える、もしくは制裁金を追徴して頂きたい気分なだけに、裁判官の発言に残念な気持ちを抱きました。

地裁で勝訴して認められても、高裁ではこういう方向に行くのかなあと。働かすだけ働かせて病気になったら本人のせいにして使い捨てる現状、会社は、裁判の場でさえもやりたい放題ではないかと。


続いて東芝側から、
「先日、行政訴訟(労災不支給取消し訴訟)で提出された、O大学N教授(医者)の意見書を提出したい」と発言。

ああ、やっぱり・・・
大企業と天下りお役所との癒着・・・か・・・

現在は東芝との民事裁判である解雇裁判と、行政訴訟(労災不支給取消し訴訟:被告国(厚生労働省))が並行して別々に行なわれています。
しかしなぜだか行政訴訟の国(厚生労働省)側の書面の内容は、驚くほど東芝の主張と似ていて、まるで東芝と細かい打合せをしているのではないか、という印象を受けています。

N教授意見書の内容は残業時間に関する内容で、「残業時間60時間では精神疾患の原因にはならない」という内容のもの

確かに、東芝との裁判の判決文には、
「所定時間外労働時間は平均90時間、法定時間外労働時間は70時間であり、いずれにせよN教授の研究で優位さが見られたとする「60時間以上」というレベルを超えており、その業務内容も、業務内容の新規性、繁忙かつ切迫したスケジュール等、原告に肉体的・精神的負荷を生じさせたものという事ができる」

という文章があり、「60時間残業が精神疾患発症に及ぼす影響」に関する意見書が提出されれば争点の一つとなり得るかも知れません。
(ちなみに、法定時間外労働時間が70時間というのは残業時間から有給休暇時間分を不当に引いた、東芝の計算の数値であって、法定労働時間を70時間と認定した地裁判決は事実誤認といえます)

しかし、熊谷労基署は、法定時間外労働時間は、80時間以上であると、労災認定基準以上の残業時間を認めており、
精神部会の意見書にもしっかりと「長時間労働が認められるため」という記述があります。
つまり、行政訴訟では、長時間残業を認めているのだから、「60時間では精神疾患の原因にはならない」という被告の主張は的外れといわざるを得ません。
なぜこんな意見書が行政訴訟で提出されるのでしょう。

O大学N教授(医者)意見書はまるで東芝との裁判のために、行政訴訟で提出されたのでは、そう感じていたので、東芝側が提出したいと言い出したときはやっぱり・・・。

N教授が埼玉労働局からの要請で意見書を提出したのは9月25日の行政訴訟の日。あれから1か月も経っていないのに、別々に行われている裁判で提出された意見書の存在を東芝がどこから入手したのでしょうねぇ

大企業と天下りお役所(厚生労働省)との癒着か・・・というまでも無く

東芝との裁判控訴審と行政訴訟(労災不支給取消し訴訟、被告:国)、2つの裁判が進行していますが、本当に公正に判定される事を願って。まだまだ裁判は長そうです。
平行して進む2つの裁判、疲労がとにかく酷いのですが、引き伸ばしとしか思えない、控訴した東芝に負けないよう、無理しないよう頑張りたいと思います。



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