東芝・過労うつ病労災・解雇裁判
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裁判・控訴審

平成20年(ネ)第2954号 解雇無効確認等請求事件

最終意見陳述書


                      意見陳述書

 うつ病を発症し、休職を開始してから9年という大変長い月日が経ちました。解雇され、裁判が始まってからは、6年以上という、これまた大変長い月日が経っています。去年2009年5月には、行政訴訟で国に労災認定されました。
 
 今年の3月に和解が決裂してから、東芝は、上司や同僚の陳述書や産業医の意見書を新たに多数作成して提出し、私の精神疾患の発症の原因が、業務上ではないという主張をしつこく繰り返しました。しかし、国の労災認定はもはや覆ることはありませんし、それは東芝も十分承知しているはずです。それなのに、東芝は、締め切りを過ぎて、弁論期日の前日にあわせて、気分が悪くなるような、業務上であることも否定した上司の陳述書や産業医の意見書を提出する行為を行いました。これらの行為は、私の症状を悪化させることを狙ったのではないかと思わざるを得ません。
 
 東芝は、裁判が始まってから、ずっと、嫌がらせや引き伸ばしに徹してきましたが、和解決裂後もその態度は全く変わらず、私が症状悪化して裁判を辞めることを狙ったとしか思えない、本当にしつこい態度をとり続けています。これが、日本を代表するような、そしてメンタルヘルスをしていますと公表している会社の裁判での対応なのかと思うと、非常に残念です。東芝には、強い反省を望むとともに、会社のメンタルヘルスや体質の改善を、と、これで何回言ったかわかりませんが、東芝は、地裁で全面敗訴しても、国に労災認定されても、全く反省することなく、裁判をいつまでも続け、病気の私を苦しめ続けています。会社に対して厳しい判決が出ないと、会社は反省しないのだと思います。
 
 私が発症した当時の余りにも辛すぎる苦痛や、その後、9年以上も様々な症状に悩まされ、今も苦しんでいることは、既に陳述書に述べたとおりです。発症したときに私が会社から受けた苦痛は耐えられないほど大きなもので、今でも、余りにもつらすぎた当時のことを思い返して、涙が止まらない時があります。そして9年以上経った今もなお、私は不安感、睡眠障害、疲労感といった症状に苦しめられ、外出もままならず、一日のほとんどを寝てすごしています。それどころか、裁判中に「解離」や「妄想」といった、通常の健康な人では説明が出来ない深刻な症状も体験し、将来の生活に不安を抱いています。さらに、裁判では勝訴してなお、周囲からの精神疾患への根強い偏見を感じており、その状態で生きていくことは非常に辛いです。
9年以上、治る目処も立たず、将来の展望も描けない、人生を壊されたと言っていいほどの苦痛を会社から受けました。
 
 会社が過重な労働を課し、発症させたことはもちろん問題ですが、私が最初に体調が悪いと訴えたときに、会社が適切な対応を取っていれば、私の病気がこんなに長引くことも、症状や偏見に苦しむことも無かったはずです。
 
 裁判所には、どうか、私が受けた苦痛や、失ったものを正当に判断していただきたいと思います。そして、メンタルヘルス対策を行っていますと社会にアピールしている会社が、言葉だけではなく、本当にメンタルヘルス対策を実施し、社会のメンタルヘルスが向上し、私のように、仕事が原因で精神疾患を発症し、症状や偏見に苦しむ人が、少しでもいなくなることを願っています。
 
 東京高等裁判所 第11民事部 御中
 2010年11月24日
                                    原 告 重光由美





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