東芝・過労うつ病労災・解雇裁判
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裁判・控訴審

平成20年(ネ)第2954号 解雇無効確認等請求事件

判決言い渡し 2011年2月23日(水) 10:30〜

出席者  原告側 重光由美 川人弁護士、山下弁護士、小川弁護士、島田弁護士
       被告側 指定代理人2名 
       傍聴人35(東芝側3名)
場所   東京高裁825号法廷

    
■全体
法廷スケッチ
判決文を読む 岡久 幸治 裁判長


担当裁判官 (高裁第11民事部)
岡久 幸治   裁判官 (裁判長 真ん中)
佐々木 宗啓  裁判官 (左陪審 主任裁判官、和解担当)
三代川 俊一郎 裁判官 (右陪審) 



      
   裁判長 岡久 幸治 裁判官

裁判長が主文を読み上げ、判決言い渡しはあっという間に終わりました。



判決文 主文


1(1) 第1審被告の控訴に基づき、原判決主文第2項中、第1審被告に対し、平成16年10月から本判決確定の日まで、毎月25日限り月額26万9683円の割合による金員を超えて金員の支払いを命じた部分を取り消す。
(2)上記の取消に係わる第1審原告の正客を棄却する
2(1) 第1審原告の控訴に基づき、第1審原告敗訴部分のうち、次の(2)の請求に係わる部分を取り消す。
(2)第1審被告は、第1審原告に対し、原判決主文第3項の金員のほか、161万3200円及びこれに対する平成16年12月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 第1審原告及び第1審被告のその余の控訴をいずれも棄却する。
4 第1審原告が当審で追加した請求中、本判決確定の日の翌日から、毎月25日限り月額47万3831円の割合による金員及びこれに対する毎月26日から関西に至るまでの年6分の割合による金員の支払いを求める部分を却下する。
5 第1審被告は、第1審原告に対し、平成16年10月から本判決確定の日までの毎月25日限り支払うべき月額26万9683万円の割合による金員に対する各月26日から完済に至るまで年6分の割合による金員を支払え。
6 第1審被告は、第1審原告に対し、699万1218円及びこれに対する平成16年12月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
7 第1審原告が当審において追加したその余の請求をいずれも棄却する。
8 訴訟費用は、第1、2審を通じ、これを10分とし、その6を第1審原告の負担とし、その余を第1審被告の負担とする。
9 この判決の第2項(2)、第5項及び第6項は、仮に執行することが出来る。



11:30から、裁判所司法クラブで記者会見が行われました。


原告コメント


 本日、解雇が無効である事と、賃金の支払いを認め、また、東芝が否定した東芝の安全配慮義務違反が明確に認められ、慰謝料が一審より倍額になったことについては、うれしく思います。しかし、損害賠償額を全額ではなく、8割に減額したことについては、大きな不満があります。
 会社側の明らかな嘘や矛盾だらけの主張を受け入れており、そのような判決が出ることは、弱い立場の労働者に泣き寝入りをしろと司法が言っているようなものです。
 東芝は、国が労災認定した事実さえも、今もって否定し、病気の私を苦しませ続けています。東芝は、メンタルヘルス対策をしていると自ら掲げているわけだから、国の労災を受け入れ、私に対しても早急に誠意ある対応をして頂きたいです。
 精神疾患を患うと、症状だけでもつらいのに、周囲から偏見を受け、よりつらい思いをします。社会のメンタルヘルスが進み、私のように長期にわたって苦しむ人がひとりでもいなくなる社会になってほしいと思います。

原告 重光由美



弁護団コメント


1 本日の判決は、一審につづき、原告の病気(うつ病)が業務に起因する労災であることを認め、かつ、会社の安全配慮義務違反(責任)を認めた。
2 そして、一審につづき、解雇を無効としたこと、未払い賃金や慰謝料の支払いを命じたこと、は評価できる。
3 但し、会社の賠償すべき金額を全損害額の8割としたのは、不当であり、納得できない。
4 会社は自らの非を認め、原告の権利を認め、本件の正しい解決を計るべきである。そして、職場改善へ向けて抜本的な取り組みを行うべきである。

弁護団ホームページより
http://www.cpi-media.co.jp/kawahito/hanrei/hanrei.htm


□原告感想




「主文、解雇無効とする・・・」
(これは当然でしょ)
「第1審被告は第1審原告に対し金○○円払え
・・・第1審被告は第1審原告に対し金○○円払え・・・」

あれ?被告側が支払う金額が予想より少ない気がする
それに、主文の内容が良くわからない。
これって、おそらくは原告に良い判決では無いんじゃないの?

そう思っているうちに主文の読み上げが終わり、法廷は内容がわからないまま、あっという間に終わってしまいました。

弁護士に
「被告が支払う数字が予想していた額より低いのですが、もしかして私の過失がとられたのではないですか」
と聞くと、弁護士からは
「いや、まだわからない」と返答

傍聴席からは
裁判官はボソボソと何を言っているのかさっぱり分からない。
もっとゆっくりしゃべってくれればいいのに
内容がわかるように言ってほしい
といった感想が、聞かれました。

判決後、私と川人弁護士が、傍聴に来てくれた人に簡単に挨拶。残り4名の弁護士は、判決文を入手するため、別行動になりました。
挨拶の場で、勝訴の花束をもらいました。
しかし、私の頭の中は、判決の中身がどうなっているのか、そのことで一杯でした。

挨拶もそこそこに、残りの弁護士と判決文が待つ、弁護士控え室へ。
そこで、判決文全文のコピーをもらいました。

「原告側の過失が2割とられている」
「賃金から時間会賃金と賞与が控除されてる」
「産業医の過失は明確に認められてる」
等々、判決文の内容を弁護士から聞きました。
残念ながら、私の予想は当たったようで、判決内容は、私にとっては受け入れ難い内容でした。

11時30分からの記者会見に向け、判決文を読む時間もなく、弁護士から説明を受けながら、コメントの作成を始めました。

頭の中は、過失をとられたなんて、信じられない!
と言う思いでいっぱいでしたが、コメントを書いていたら、
あっという間に記者会見の時間になり、
「私の読むコメントの確認をお願いします」と弁護士にお願いしたのですが、弁護士も余裕がなかったようで
「口頭で読むだけだから大丈夫だ」
と言われ、私の作成したコメントを、弁護士がチェックする時間もないまま、記者会見に臨みました。

以上原告ブログ「うつ病患者の裁判しながら日記」判決日より
http://shigemitsu.blog40.fc2.com/blog-entry-541.html

2014年3月最高裁全面勝訴後、現在は差し戻し審が行われています
最新情報は、原告ブログ「うつ病患者の裁判しながら日記」をご覧ください
http://shigemitsu.blog40.fc2.com/



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