東芝・過労うつ病労災・解雇裁判

 
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労災申請・審査請求

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審査請求申請  (2006年1月25日)
審査請求棄却  (2006年12月22日)

8.埼玉労働局への審査請求棄却 

●2006年12月22日 埼玉労働局より審査請求「決定書」発送

審査請求の決定が遅い、人権問題として裁判も考えている、と弁護士が担当官に電話した翌日、審査請求「決定書」が発送されました。
主文「本件審査請求を棄却する。」
「決定書」は22ページにもわたる、立派な書面でした。それが、弁護士が「遅い、裁判する」といった翌日に発送できるとは。わざと発送を遅らせたとしか思えない役所の行動、そこからすでに疑問。
そして、到着した「決定書」は、全く不可解な点の多い内容でした。

例えば熊谷労働基準監督署の労災不支給の基となった「精神部会の意見書」では以下の記述がありました。
平成13年2月頃から被災者労働者が担当する工程でトラブルが、たびたび発生したことが認められる 。
 この出来事を「判断指針」の別表1に例示されている出来事に当てはめると、具体的出来事は「ノルマが達成できなかった」に類推適用する。平均的な心理負荷の程度の強度は「U」である。その内容について、被災労働者の上司Fは、「重光さんの担当工程について、特に大きなトラブルはなかった」等述べている。また、被災労働者と同一工程で作業していた同僚Tは、「平成13年2月から3月にかけて、トラブルは散発的に発生した。原因を調べて対策を行なっていたが、処理しきれない状況ではなかった。解消について、上司からの督促はない。自分が担当していた工程は、他の工程よりもトラブルは少なかった。」 等述べていることから、これらのトラブルは、特段、困難性は認められない。また、同僚、上司の証言からペナルティが課されていたとは認められないことから、心理的負荷の程度の強度は「T」に修正する。しかしながら、出来事の発生以前から続く恒常的な長時間労働が認められるので、心理的負荷の程度の強度は「T」から「U」に再修正する

そこで、審査請求では、業務資料を見せ、同僚の証言はあてにならない。トラブルはあったのだから、心理負荷の程度は「U」であり、さらに恒常的な長時間労働が認められるのだから、心理的負荷の程度の強度は「U」から「V」に修正され労災になるはず (心理的負荷が「V」の場合は労災と認められます。)、と主張しました。
ところが、審査請求の「決定書」では上記の部分が、下記の内容に書き換わっていました。
埼玉労働局地方労災医員協議会精神障害専門部会の意見書(平成17年12月5日付、以下「専門部会意見書」という。)では、要旨、次のとおり記述されている。
B平成13年2月頃から請求人が担当する工程でトラブルがたびたび発生した。
 この出来事を「判断指針」の別表1に例示されている出来事に当てはめると、具体的出来事は「ノルマが達成できなかった」に類推適用し、平均的な心理負荷の程度の強度は「U」である。
 心理的負荷強度の修正は要しない。
 出来事に伴う変化等について、特段評価すべきものは認められない
信じられないことに、精神部会の意見書の内容が、
「出来事の発生以前から続く恒常的な長時間労働が認められるので」という、長時間労働に関する記述が、削除されて「決定書」に転載されていました。
これは明らかにおかしいです。

そして、審査請求「決定書」は、審査請求棄却の棄却理由として以下に結論付けています。

オ 総合評価について
 総合評価は、出来事の心理的負荷の強度が「U」のときは「特に過重」と認められる場合に「強」となるものである。
 請求人の睡眠時間は6〜7時間が確保されており、心身の疲労を増加させ、精神障害を形成するほどの長時間労働でなかったと考え、請求人の担当工程にかかる責任問題等も生じてないことから、業務の心理的負荷は「特に過重」とは認められないと判断する。
 よって、請求人の心理的負荷は「強」にいたらないと当審査官は判断する。

カ 業務以外の要因について
  業務以外の心理的負荷は特記すべきものは認められないものと判断する。

以上のことから、請求人に発病した疾病は、労働基準法施工規則別表1の2第9号「その他業務に起因することの明らかな疾病」に該当しないものと判断する

つまり、睡眠時間を6〜7時間確保しているから、長時間労働をしていないと言っているのです。
しかし、睡眠時間6〜7時間確保というのは、普段の睡眠時間を削って、寝る以外はずっと働いていたということです。(実際はもっと睡眠時間は短いのですが)ちなみに通勤時間は15分から30分程度です。これだけ働いていたのに、長時間労働が認めらないのは明らかにおかしい。
医学的な知識がなくても、普通に考えて、睡眠時間を削って、寝てる以外はずっと働いている生活が数ヶ月続き、加えてトラブル対策に追われた等心理的負荷があれば、病気になって当たり前です。

ちなみに、1か月100時間以上もしくは2か月平均80時間以上の残業をすれば、労災認定では長時間労働があったと認められます。私の事案では当然クリアーしています。

つまり、審査請求で埼玉労働局は
@業務の心理的負荷を認めている(心理的負荷「U」である)
Aうつ病発症前の長時間労働を認めている
 (4ヶ月残業平均80時間以上、さらに睡眠時間を削って働いていた)
B業務以外にうつ病発症の原因は無いと認めている

と認めているのです。
これは、現在の労災認定基準と照らし合わせても当然労災と認定されるべき内容です。
加えて、当時、同じ業務に従事した同僚が半年間に2名自殺しています。
睡眠時間を削って何ヶ月も働き、心理的負荷もあったことも認めながら、うつ病発症を労災と認めず
さらに、労基署が「長時間労働が認められる」との記述を、審査請求「決定書」では削除
矛盾だらけのお役所の公文書。こんなものが公文書としてお役所から提出される事がまかり通る事自体、信じられません。労働者には人権が無い、そういっても過言ではないお役所の対応です。

密室の中で行われた労災不支給・審査請求棄却。
あまりにも矛盾だらけの審査請求棄却内容で、大企業と天下り官僚の癒着か?など言ういうまでもありません。
これでは、労災行政は、経営者は労働者を病気になるまで働かせてよい、といっていることと等しいです。嫌がらせをする大企業が勝つことはあってはならない。弱い立場の人間が泣き寝入りをする、そんな社会であっては絶対にならないと思います。

●2007年2月6日 再審査請求申請

第15回弁論準備の日に、裁判が始まる前に、東京都港区にある中央労働保険審査会に、再審査請求を提出してきました。手続きは15分程度、あっという間に終わりました。

これ以降は労災再審査請求をご覧ください

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