東芝・過労うつ病労災・解雇裁判

 
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労災申請・再審査請求

労災申請     (2004年9月8日労災申請申請) 
不支給決定   (2006年1月23日) 
審査請求申請  (2006年1月25日)
審査請求棄却  (2006年12月22日)

9.再審査請求提出 

●2007年2月6日 労働保険審査会に再審査請求申請

第15回弁論準備の日に、裁判が始まる前に、東京都港区にある労働保険審査会に、再審査請求を提出してきました。手続きは15分程度、申請書に受付印が押され、あっという間に終わりました。
○再審査請求手続き等については、厚生労働省労働・保険審査会のページをご参照ください

●2007年3月5日 労働基準監督署より真っ黒塗りの「調査復命書」到着

「調査復命書」とは、労働基準監督署が労災調査の内容を書いたもので、裁判で言えば判決文に当たるもの(だそうです)。
労災不支給決定後(2006年1月23日)、すぐに開示を求めましたが、提出されませんでした。理由は「決定の及ぼす範囲を特定する作業を行っているところであり、現段階では送付を差し控えます。なお、特定する作業が終わり次第、お知らせします。」と書いてありました。
それが、なぜか、約1年後の2007年3月5日付けで提出されてきました。
そして、その書面の、肝心な部分のほとんどが真っ黒に塗られていました。労災認定結果さえも黒く塗られており、これを見ただけでは労災不支給なのか、不支給の理由が何なのか、発症時期、病名さえも全くわからないような書面でした。
 黒塗りの書面の一部。本当に真っ黒


この黒塗りの資料からは、新たに得る情報は無く、それどころか、開示請求から1年も経ち、審査請求も棄却決定後になった後に、真っ黒塗りの資料を提出するという行為は、審査請求棄却決定で弱った体を、ますます痛めつけている行為に感じました。
黒塗りのために1年かけ、提出する、しかも既に審査請求の結果が出た後で!
こんなお役所仕事があるのか?と思いましたが、労災に慣れてる弁護士が言うには、「よくあること」だそうです。労災認定の難しさ、お役所の対応の悪さを感じる出来事でした。

■2007年7月19日 「労災不支給取り消し訴訟」提訴

再審査請求申請から3ヶ月経っても決定が出ないため、国を相手に「労災不支給取り消し訴訟」を東京地裁に提訴しました。
弁護士が訴状を裁判所に提出して提訴は終わりましたました。訴状は簡単な内容でした。


●2007年9月28日 公開審査日程についてお知らせ到着

(労災不支給の行政訴訟を提訴しましたが、再審査請求は引き続き行われます)
労働保険審査会より、「再審査請求の日程について」の書類到着
「平成19年12月4日(火)に再審査請求の公開審査行いたい。つきましては平成19年10月9日(火)までに連絡がない場合は、了承されたとみなされます」と書いてありました。

お知らせの書類が届いて、返事するまでの間がたったの一週間?

その日程のお知らせの書面が届いた時に、もし、私が長期で自宅を離れていてその書類を見ることができなかったら、都合が悪くても、公開審査の日が決まってしまっていたということですよね・・・
私にとっては労災に認定されるかどうかは人生の一大事なのですが・・・
もう少し余裕をもってお知らせできないんのか、と、相変わらずお役所仕事に、少々怒りがこみあげてしまいました

■2007年10月15日 行政訴訟初公判

原告・原告側弁護士がが意見陳述書を読み、初公判は終わりました。
初公判当日、被告(国)側より、調査復命書の一部が、黒塗り無しで提出されました。しかし、今回は、黒塗りだった書面全部が提出されませんでした。サービス残業を認めているであろう書類など。真っ黒に塗られた書面の一部がすでに提出されているのだから、全ての書類も当然黒塗り無しで提出されないとおかしい。

裁判だから、不利な書類は提出しないのか?とも思えますが、いやいや、これはお役所が公平に審査された結果労災不支給となったことに対する不服を申し立てている裁判なのだから、国は公平に判定したその書類を堂々と提出できるはず。提出してこないこと自体がおかしい

もっとも、労災不支給判定内容そのものが明らかにおかしいのは自明なのですが

なんだ、裁判でも最初っから不公平か・・・
東芝との裁判では、就業規則を5ヶ月かけて提出してきたりという引き伸ばし工作を受けましたが、行政訴訟も、すんなり、というわけにはいかなそうです・・・
さすがに、東芝のような嫌がらせ、や威嚇はないとは思っていますが・・・


そして、東芝との民事裁判で、裁判所への提出を拒んだ「労働基準監督書が行った同僚の調書」9人分が提出されました。すでに提出された4人分(1人は課長)を読み、会社が同僚に圧力を掛けて調書を書かせただろう事は解っていましたが、さすがに、9人分は応えました。読んでぐったりしてしまいました。
労災に慣れている弁護士が言うには、通常、大企業が調書の作成時に同僚に圧力を掛けることは無いのだとか
それを10人以上の同僚に圧力を書ける東芝とは・・・
東芝はこの12人の同僚に何を言ったのか
同僚は何を考えてこの調査回答書を書いたのか・・・

一緒に働いていた同僚が2名自殺しているのに、自分達も同じ目に逢うかもとは思えなかったのか・・・
それでも、裁判所への提出を9人が拒否したということは、この9人の同僚達に自責の念のようなものが働いたのでしょうか・・・

事実は解らない訳だから、考えてもしかたないか・・・


●2007年10月下旬  審議の期日及び場所について(通知)到着

1 期日 平成19年12月4日(火)
2 場所 東京都港区芝公園1丁目5番32号 労働委員会8階
審理に出席されるるかどうか、同封の葉書でご連絡ください
出席に要した費用は、出席者の負担になります


といった内容が書いてありました。
そして、熊谷労働基準監督署・埼玉労働局のこれまでの調査資料が、立派な冊子となってまとめられており、それが同封されていました。
同封されていた冊子


この冊子には、10月15日の行政訴訟で被告(国)から提出されなかった、黒塗りの資料も、黒塗りが無い状態で多数載っていました。
例えば、上の2007年3月5日に提出された、真っ黒塗りの「調査復命書」の写真の箇所。黒塗りがなくなっています。

黒塗りだった部分は、「労働基準監督署の意見」にあたる部分でした。
つまり、他人の書いた意見書(主治医なども含む)や調書(同僚分も含む)は公開できるが、自分達労働基準監督署の書いた意見は公開できません、ということ。
なんだそれ!公平に調査したのなら当然公開できるはずですよね

黒塗りだった部分を読んだところ、とにかく不支給にする事、が大前提で書かれてあるという感じで、同僚の意見などを都合よく切り貼りして、私の「過酷な労働」という主張を徹底否定しており、ただ気分が悪くなるだけの文章という感じでした。

しかし、労災不支給後に開示を求めると黒塗りで、労働局への審査請求では黒塗りのまま、再審査請求すると黒塗りが無くなる?全く不可思議な労災行政です。最初から黒塗りなして開示すればいいのではないでしょうか・・・これはおかしい!ですよね・・・

●2007年11月16日  審議の期日及び場所について(通知)再度到着

日にちに加えて、時間の指定もありました。最終通知ということでしょう。
1 審査の期日 平成19年12月4日(火) 13時 0分から13時30分まで
2 審査の場所 労働保険審査会審理室
           (東京都港区芝公園1丁目5番32号 労働委員会会館8階)
 

    公開審査なので傍聴ができます。地図はこちら


●2007年12月4日 再審査請求・公開審査(労働保険審査会)

12月4日(火)13:00から、再審査請求の公開審査が行われました。労働委員会館は、芝増上寺のすぐ近く、芝公園に接しており、芝公園の銀杏がきれいでした。

審査では、公開審査室に入ると
審議官(裁判官のような人)3名 
参与(陪審員のような人)4名
書記担当と思われるような人3名
が席に座っていました。

審議官3名の氏名
審査長 平岡 昌和
審査員 坂本 由喜子
審査員 平野 由美子


私と弁護士は、「請求人・請求代理人」席に座りました。
隣に「原処分庁」席があり、そこに2名座っていました。

定時の13時より審査開始。
まず、申請人である私と弁護士が意見を述べました。
これは、行政訴訟の初公判で読んだ「意見陳述書」を読み、5分程度で終わりました。

続いて、「原処分庁意見をお願いします」と審議官が言い
処分庁席に座っている人が「労災にあたりません」(といった内容のことを)一言発言。

えっ、それだけ?!と思いましたが、結局、公開審査で原処分庁(熊谷労働基準監督署か埼玉労働局?)の人達は、この一言しか発言しませんでした。

続いて、3名の審議官より質問開始。
全て私に対する質問で、質問というよりは、攻撃に近い、と感じました。とにかく労災不支給にしたい、という意図で発せられたとしか思えない質問が次々と浴びせられました。

審議官「夕食はどこで食べていましたか」
私「会社の食堂で食べていました」
審議官「夕食を食べる時間はあったんですね」
はあ??夕食を食べる時間も無く働いていたら、病気になって当たり前でしょうが・・・なんだ、この発言は・・・
私「寝る、食事するなど、生活する上で必要最低限の事をする以外の、ほとんど全ての時間を働いていました」

等など。
一応、全ての質問に反論しておきました。

最後に、私の代理人であり、過労死弁護団の川人弁護士が
「今回の事案は、長時間労働を会社も認めており、認定されて当然の事案である。労災・審査請求などで不支給となり、裁判で労災と認められる事例が近年相次いでいる。このような事態は異常であり、今の労災行政には大変な問題がある」
といった意見を述べ、審議は終了しました。

審議時間は、予定の30分を上回り、50分でした。

原処分庁と申請者を呼び、審査をするという形式を取りながら、質問は申請者だけに集中し、しかも労災不支給にせんがためとしか思えない質問ばかり
不公平もいいところ。なんのための審査なのか?非常に疑問に感じました。

それでも、質問に全て反論することができ、気分は一応すっきり。不支給決定の文章には、腹の立つ事ばかりが書いてありましたから。
労災認定されるかどうか、これはきっと、政治力などで決まるのでしょう。


●2008年3月19日 再審査請求棄却決定

3月14日に判決の日が延びる連絡があり、支える会の会員への判決日変更連絡やホームページの更新などに追われ、一息つけた翌日15日、労働保険審査会から郵便が届きました。

あれ?なんだろ??
「労働保険審査会への再審査請求」は、行政訴訟をするための、ただのステップ。
再審査請求の決定は通常2年以上かかるので、行政訴訟を起こして判決が出るのと時期的にたいしてかわらないから、訴訟を起こしたほうが良い、と弁護士から言われていました。

その労働保険審査会からの郵便。労災の決定にしては早すぎないか?と思いつつ開けたら

裁決書
主文「本件再審査請求を棄却する」
と書いてありました。

うそっ・・・
読んだ直後は、全く予期せぬ文章にぼーぜんとしてしまいました

以下理由が17ページにわたって書いてありました。
ざっと目を通して、要は今までの熊谷労働基準監督署、埼玉労働局からの書類と似たり寄ったりの、矛盾に満ちた内容だらけ。

長時間労働はあった
心理的負荷はあった
業務以外にうつ病を発症する理由が見当たらない

のだけど、なぜか不支給

相変わらず上司・同僚の証言のみを採用し、私の証言や当時の資料を全く無視。
再審査請求の私の意見やら、公開審査での質問への反論は全く採用されていませんでした・・・
もっとも、私の意見を採用しなくても、長時間労働、心理的負荷とも既に認めているわけだから、当然労災に認定されるべき内容なんですけどねー。

労災行政は「大企業に天下りしたがってるお役人によって決まるんだろうな」としか思ってなかったので、
再審査請求に期待は全くしてなかったし、そもそも眼中になかったのですが、東芝との解雇裁判を前にして、またも不支給決定という事実に、さすがに気分は沈んでしまいました・・・

それにしても再審査請求の決定が聞いていた期間と比べ、早すぎる。
東芝との解雇裁判の判決直前とは、タイミングが良すぎる。
偶然、なのかなああ??

もはや再審査請求棄却決定が出てしまったものは仕方ない。
労災申請は、係争中の行政訴訟がメインで、再審査請求はあくまで訴訟のためのステップ
一方通行密室で行われるのお役所の決定と違って、裁判では、きちんと反論が出来る。

と言う事で気を取り直して、頑張りますか

再審査請求は、棄却が決定
行政訴訟(労災不支給取り消し訴訟)初公判のページはこちら

2008年4月22日東芝との解雇裁判で業務上と認められました。東芝は即日控訴しました。詳細はこちら(判決概要)
2009年5月18日行政訴訟(労災不支給取消し訴訟)勝訴しました。
6月2日判決が確定し、労災認定されました。詳細はこちら(判決概要)

現在、東芝との解雇裁判・上告審が行なわれています

最新情報は原告ブログ「うつ病患者の裁判しながら日記」をご覧ください

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